2012年11月6日火曜日

音のこと

「屋内展示」の会場では様々な音が聞こえてきます。
音響製作はサウンドアーティストのノルベルト・ハーバーによるもので、
彼が自作したコントロールユニットを経て、9つのスピーカーから出力されています。

会場に流れる音の最大の特徴は、来場者の影響を受けて変化する、ということです。
10カ所に設置されたモーションセンサーが来場者の気配を感知して、
まるで話しかけるように人の声や音が聞こえてきます。
藍を栽培する農家の声、すくもを作る藍師の声、布を染め上げた染師の声、、、
藍の刈取機の音、寝床での切り返しの音、藍建ての音、染料液の滴る音、、、

センサーの反応がすぐに現れない音も3種類あります。
まず1つめは、BGMのように流れる長く響く音。
この音は会場内の藍葉が育った上勝町で夕方流れるチャイムをベースに製作されました。
春から夏にかけて藍が成長しながら聞いていた音です。
2つめは、せせらぎの音。
これは、吉野川第十堰の水音。阿波藍を支えた吉野川の流れです。
3つめは、インディアナ大学構内の藍畑の音。
企画監修を務めたローランド・リケッツの藍畑にマイクを設置して、
リアルタイムで倉庫内に音を引き込んでいるのです。

「屋内展示」の全ての音は長いスパンで変化していきます。
センサーが感知した情報は少しずつ蓄積され、音に緩やかな影響を与えてくれるのです。
人が関わることによって常に変化していく様子は「伝統」そのものと言えます。